この番組は世界のOSエンジンでおなじみの小川正紀の提供でお送りいたします 昭和11年、日本で初めて小型エンジンを発売、アメリカへ輸出開始 昭和13年、早くもマリンエンジン開発 時代、小型エンジンを見つめて40数年、ひたすらこの道を歩む 常に小型エンジンの世界をリードする、OSエンジン 科学の散歩道、今日も神戸大学の研究室にお邪魔しております。今日はですね、工学部の生産機械工学科の岩田和明教授にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。 今日は生産工学科学科研究室なんですけど、いろんな機械がありますけども、今日は切削ということについてですね、いろんなお話を伺いたいんですが、切削といいますと難しく聞こえますけれども、 字で書きますと、切ると、それから削るという字を書いてますね。切る削るなら、いろいろ私たちの日常にいっぱいありますよね。 例えばどういうようなことがありますかね。 そうですね。私の周りにこの切るということと削るっていうのは、本当にたくさんございましてですね。 そうですね。まずいい例が、私の家庭でちょっと例を拾ってみましょうか。そうしたしますと、日常で密接な関係が食べるということと絡みましてですね。 そうすると包丁ですね。包丁で肉を切ったり野菜を切ったり、これも切るですね。当然ね。 それからナイフとフォークなんかで食べるときに、ステーキをやりますね。 それから小刀で工作なんかやりますね。 そうですね。 缶ので削ったり、日常台区、それから鉛筆を削ったり。 そうですよね。 この切る、削るということを、うまくやる人とうまくやれない人といろいろあると思うんですね。 それはどういうところなんですか。やっぱりコツみたいなものですね。 一つは何度か経験を積むということで、いっしろ熟練のような。熟練を積んでいるうちに、自然のうちに体得してコツになる。 それらの細かく分析すると、例えば鉛筆を削るということは、いい角度で切って、そして同じ力を加えるということですね。 そういうことなんですね。角度が一つ重要。それからそこにどれくらいの力をかけて、それから人間は非常に微妙な感じを与えることができますので、 そういうことで参りますと、そのときの調節の仕方、こういうことじゃないでしょうかね。 しかしそういうことを考えてみますと、それをもっと誰でもできるようにしなければならないということがありますね。ここにたくさん機会がありますけれども、これは工作機会というんですか。 そうです。 工作機会というのが実はそういうことをやっているわけですね。 そうなんですね。今お話が出てましたのは、これは日常生活のお話でございますが、その日常生活の切るとか削るということが、これが産業だとか工業の社会に入ってまいりますと、 今のようにおっしゃったように、工作機会というふうな形で現れてくるわけですね。 そういうのは、工作機会というのは昔からあったんですかね。 これは非常にいろんな文献にいろんな形で出てきているんですけれども、ちょっと一番古そうだという例を見ていただきましょうか。 実はこの絵でございますが、これは紀元前3世紀頃、エジプトの墓の壁画なんです。 それで、これは2人の人が迎え合っておりまして、この人は草の紐のようなもので回している。 これを回しているわけですね。 そうなんです。 それで、これが何とかをするというものですかね。 そうなんです。それからこちらの人は、何か当てているようにご覧になれると思いますが。 いわゆる刃物か何か、昔だったら貝とかそういうものですかね。 たぶん貝とか、石とか、そういったものを作りまして、 これを思うとおりの形にしようということですね。 どうもこれが一番古いんじゃないかということです。 ですから、紀元前3世紀ですから、今までにもう長い歴史があると、こんなふうに考えているんじゃないでしょうか。 なるほどね。 そういう昔からあったということでありますか。 なるほどね。さあ、それでは、切る、削るということは、一体どういうふうに行われているのかという、大きく拡大するとね。 なるほど。 そういうことが基本になってきているのか。 はい。今のお話のように、日常生活に非常に密接に入っていますので、 だからもうそういう原理的なこと、言われて、なぜ切れるか、その一種のからくりでございますが、 これはもう十分わかっていると、実は思いがちなんですが、なかなかそうはいけませんので。 なるほど。それじゃあ、早速ちょっとみたいなものがあるわけですね。 そうでございますね。 図がありますね。 まずですね、ちょっとご覧いただきましょう。 これはですね、削るという一番のからくりをわかっていただくようなモデル図なんですが、 ここに削りたい材料がありました。 それからですね、ここに書いてあるこの部分、これだけを削り取ってですね、 残りこれだけの厚さのものを作りたいと。 こういう場合ですね、これはその時に使います、いわゆるナイフです。 ナイフ。 これは… カンナと考えていいですね。 そうですよね。こういうふうにして、このカンナをこちらに動かしまして、 そして、ここにある鳥たいと思うだけを覗いていく。 そうしますとですね、ここにありますように、少し赤く書いてございますが、 この強制的にこれお前よこれどけっとこういうわけでございますんで、 非常に摩擦が出まして、高いですね。 これがですね、大体500度から1000度ぐらい。 そうですか、そんなにあるんですか。 かなり高い温度になる。これは一つ特徴でございます。 もう一つはですね、ここにかかってくるこのカンナの工具ですが、 かかる力が非常に大きくて、ここに書いてあります、100から250キロ。 1平方ミリ当たりということなので、もう少し分かりやすく言いますとですね、 1万気圧ぐらいになるんです。 ですから、大気圧の1万倍ぐらいのですね、圧力がここにかかってくる。 なるほどね。そうしますと、その当たっているところというのは、 これが写真なんですかね。 そうです。それでですね、どんなふうにじゃあその辺が、 どんなようになっているかというようなことをですね、調べますために、 実は私ども、最近新しい装置を開発しておりまして、 それは操作型電子顕微鏡と言われる、電子顕微鏡の中で、 写真を撮ったものですね。 そうなんですね。削りましてですね。 これが刃物ですね。 そうでございます。 そうするとですね、材料にもよりますし、この工具と呼ばれる刃物にもよりましてですね、 いろんな形のものができていく。 こういう風になっていると。 そうですね。これがトランプのカードって考えてやりますと、 滑っている、この辺で滑っている様子がお分かりいただける。 それからこちら側はですね、こんなふうになるわけですね。 そうなんですよ。先ほどのと比べていただきますとですね、 ずいぶん違うなというふうにお考えいただけるかと思いますが、 こういったものができていく。 ちょっとバラバラになっていく。 バラバラというのがですね、そうでございます。 ここにありますようにですね。 これは材料が中鉄でございまして、 あらかじめこういうふうないろんな細かい欠陥と称するものがございます。 そのためにきれいに切りくずを出てほしいと思うんですが、 こんなバラバラになっちゃう。 なるほどね。 ですから、ここですからできてきた面も非常に悪くなる。 こんなことがですね、拡大をしまして、 実際に削っている状態を調べるとわかってくるわけです。 じゃあそうすると、こんなふうに削れるということになりますと、 いかに正確に、思い通りに削らなければできないかということになりますね。 それは今どの程度まで精密にできるわけですか? そうなんですね。それじゃあそのところの関係を整理しました。 表を見ていただきました。 これはどういうことですか? これはですね、縦軸に書いてございますのがですね、 ちょうど10センチの丸棒を考えてください。 丸棒を。 10センチですから100ミリですか。 その丸棒を作ろうということですね。 それが5さって書いてありますが、10センチのを作るのに、 1ミリくるっちゃう。 1ミリくるっちゃう。 という意味は、100ミリの、10センチのものを作りたかったんですが、 100.1、101でございますね。 101ミリから99ミリの間のものができる。 なるほど。 それはちょうど産業革命の頃の機械というのは、こういう機械でした。 それがだんだんと良くなっていって、精度が。 上がってきましたね。 1950年というともう随分良くなってきましたね。 そうなんですね。これでいきますと、これは何て言うんですか? これは1ミクロンという。 1ミクロンということは、1ミリの10分の1、100分の1、1000分の1、1000分の1、1000分の1ミリの5さ。 そうすると、もっと現在1980年というと、この辺になるわけですか? そうでございますね。これは大変なことでございます。 1ミクロンから0.1ミクロン、0.01ミクロン。 ですから、ミリで言いますと、10万分の1ミリと。 そこまで進んでいるわけですね。 そうなんです。こんなふうな面が、品物ができるようになってきたようになる。 こういうのが今の状態でございますね。 じゃあ、そういう正確なものを作って、どんなところに応用されているんですか? そうですね。初めのお話で、日常生活ということで考えますとね、 今どの辺まで来ていたのか、こういうことになるんですけど、 実は私どもが、あれ?と思うようなことがいくつかあるんですよ。 どういうことでしょう。 それは、私たちともコンピューターというのを非常に身近に感じますし、よく使われますが、 コンピューターの中に記憶させるのに、このディスクというのは、 このディスクというのは、この面が非常にきれいな面でないと、性能が良くない。 そのディスクという面が要求される、今の面の精度というのが、0.01ミクロンになる。 これぐらいの精度のものですと、その能力が必要に良いと。 いろんなところに進めるわけですね。 ただ、日常生活、切る、削る、それが何百万分の1ミリというところがすごいですね。 それで、今後もますます進むと思いますね。 それで、希望としましては、0.001ミクロン。 こういった、今よりもまだ10倍ほど、精度の良いものを作りたい。 これで少しずりでございますが、その辺のところまでやりたいなというのが、研究している者たちの願いなのです。 そうですか。さらに精密になるわけですね。 今日は、しかしね、大変面白いですね、この切る、短に切る削り。 非常に身近なものですが、工業的にも価値があると。 そういうことでございますか。 今日はどうもありがとうございました。 こちらこそどうも。 OSライブスティームセンターでは、ライブスティームに関心をお持ちの皆様のご相談を受けたまっております。 詳しくは、電話、大阪06704-9821までご連絡ください。 昔から人々は、いろいろな機械と触れ合ってきました。 やがて蒸気機関車が誕生、世界を駆け巡りました。 蒸気機関車を愛して50年、かゆまぬ研究を続けたOS。 小型エンジンの王者、小川世紀がその進化を発揮するライブスティームロコモーティブ。 この番組は、ライブスティームのOS、小川世紀の提供でお送りいたしました。